割れる原理から考えると、表層部の引張応力をできるだけ小さくしながら乾燥するということになります。
どう防ぐ?低温高湿乾燥と高温低湿乾燥
まず考えられるのは、従来からおこなってきたように、低い温度、高い湿度で乾燥することです。これは、表層部の乾燥速度をできるだけ抑え、極力表層部の乾燥と内部の乾燥を同時におこない、表層部の引張の力を小さくするという考え方です。
この方法では割れをある程度防ぐことはできますが、温度が低いこともあってゆっくりジワジワと長時間を要します。
これと相反して、割れに対して過激ともいえる100度以上の高温低湿の状態を木材に与え、木材の表層部を一気に乾かす方法が考えられました。
水分が存在する木材は、高温状態で軟化しますが、この状態で一気に低湿状態とすることで表層部が乾燥固定、つまりセットされます。
軟化状態にある木材の表層部は、いわば弾力に富み、乾燥過程で引張の力が働いても、その大きさは小さく、割れの危険性が格段に小さくなります。
現在では、この方法によって、短時間で割れの少ない木材の生産が広くおこなわれています。